目次:
肥料はなぜ必要なの?肥料の成分と働きは?
肥料の効き方のちがいは?肥料にはどんな種類があるの?
活力剤と肥料のちがいは?肥料の選び方は?
肥料の与え方は?


 
肥料はなぜ必要なの?
 
 人間が食物から栄養分を取って成長するように、植物は地中に伸びた根から栄養分を吸収して生長します。
 自然界では、動物や昆虫のフンや死がい、落ち葉などが腐って植物の栄養分となり、それによって生長した植物が再び動物のエサになる・・・という循環がおこなわれています。
 室内や庭の植物はどうでしょうか?
 鉢植えのような限られた土の中や、手入れのされた庭では自然の循環が断ち切られ、植物が正常に育つための栄養分が不足します。
 また野生の植物は、わずかな栄養分でも育ちますが、大きな花や実を付けるように改良された園芸品種は多量の栄養分が必要で、不足すると生長不良になり、花や実も貧弱になります。
 これをおぎなうために、人が与えるものを『肥料』と呼んでいます。
〈自然界の場合〉
  〈鉢植えの場合〉
自然界では養分が循環していますが…鉢植えでは養分が供給されないし、根も外へ伸びられません。
 
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肥料の成分と働きは?
 
 植物は種子から発芽して生長し、花や実をつけますが、そのためには多くの種類の栄養分が必要です。中でも『肥料の三要素』と呼ばれるもっとも大切なものに、窒素(N)・りん酸(P)・カリ(K)があります。
 三要素は、植物が生長しているあいだは十分に必要ですが、最も欠乏しやすい成分でもあります。代表的な働きは表の通りですが、不足すると特有の欠乏症状が現れます。
 
成分
働き
不足すると


窒素(N)
葉肥(はごえ)ともいわれ、植物の生長を促進し、葉色を濃くします。与えすぎると大きくなる反面軟弱になり、花や実の付きも悪くなります。

葉の色が淡くなり、全体に黄色っぽくなります。 草丈や葉も伸びず、見た目も貧弱になります。

植物の根の伸長促進効果もあります。

りん酸(P)
実肥(みごえ)ともいわれ、開花や結実を促進します。

生長が悪くなり、開花や結実数が少なくなります。

日光不足に対する耐性や耐暑・耐寒性を増します。

カリ(K)
根肥(ねごえ)ともいわれ、植物を丈夫にします。 根の生長や葉色が悪くなり、環境の変化や病害虫に 対する抵抗力が弱まります。





カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ほう素(B)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl) 植物が必要とする量は、三要素ほど多くないものの、それぞれが重要な機能を持っています。 これらは他の成分とも助け合って機能するため、このうちのどれが不足しても植物は正常に育ちません。

 
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肥料の効き方のちがいは?
 
〜効きめの現われ方からみた種類〜
 
速効(そっこう)性肥料

 与えるとすぐに吸収されて効きめが現れますが長続きしません。追肥やお礼肥などに使います。
 
緩効(かんこう)性肥料


 与えた時から効き始め、通常2〜3か月、長いものは1〜2年ゆっくりと効きめが続きます。元肥、追肥のいずれにも使います。


  
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肥料にはどんな種類があるの?
 
有機質肥料


 油かす・骨粉・魚かす・鶏ふんなど、動植物質を原料とした肥料です。天然物のため一般に成分の含量は低く、土中の微生物によって分解されてから効くため、最初はおだやかに、その後もゆっくりと長く効く緩効性です。
 また、三要素以外にも微量要素など、様々な有用成分を含み、地力を高める働きがあります。

無機質肥料


 尿素・過リン酸石灰・硫酸カリなど、鉱物や石油などを化学的に反応させてつくった肥料で、化学肥料ともよびます。一般に速効性で、三要素のうち不足する成分だけを単独で与えることもできます。家庭園芸では、成分が急激に溶け出さないよう加工した緩効性のものが多く使われます。

複合肥料


 有機質肥料や無機質肥料を原料として作られた肥料で、家庭園芸では『配合肥料』、『家庭園芸用複合肥料』、『化成肥料』などが一般的です。
 配合肥料は、一般に有機質と無機質を配合したものです。家庭園芸用複合肥料や化成肥料には、液体・固形・錠剤・スティック状など多くの種類があり、即効性や緩効性など効き方もさまざまです。いずれも三要素を含み、目的ごとに多くの製品があります。
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   活力剤と肥料のちがいは?
 
 活力剤には鉢土にさし込むアンプルをはじめ、さまざまなタイプがあります。人のビタミン剤のように、植物の栄養補助的な働きがあります。葉色がさえないとき、日光不足、植え替え後、夏ばて回復や冬の耐寒性強化などに使います。
 中身も微量要素を配合したものなど多くの種類がありますが、肥料とは性質も働きも異なります。したがって、活力剤だけでは肥料不足になるので注意してください。

 
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   肥料の選び方は?
 
目的は・・・
 鉢植え用か、花壇・菜園用か、大きく生長させたいのか、花芽・実・球根などを充実させたいのかなど、目的によって肥料を選びましょう。
どんなタイプのものを・・・
 鉢植えには液体・固体・粒状・スティック状などが施肥しやすく、花壇・菜園には液体・粉末・粒状・顆粒状などが向いています。
 大きく生長させたい場合には三要素が同程度含まれたものを、花芽・実・球根などを充実させたい場合は三要素のうち、特にりん酸やカリが多く含まれたものを使います。
成分表示の数字と意味は・・・
 例えば『5-10-5』と表示されていた場合、窒素・りん酸・カリの三要素がそれぞれの順に、製品100gの中に5g・10g・5g含まれていることをあらわしています。
保証票を確認しましょう・・・
 肥料は、品質の保全と製品についての責任を明確にするために、「肥料取締法」という法律によって、容器または包装に『生産業者保証票』、『販売業者保証票』、『輸入業者保証票』などの保証票を表示することが義務づけられています。
 購入前に保証票がついていることを確認しましょう。

 
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   肥料の与え方は?
 
植物は種類によっても、また同品種でも苗か成木か、あるいは鉢植えか地植えかによっても肥料の与え方は異なります。
製品の説明にしたがって正しくお使いください。
肥料は、与え方や目的によって次のような名前がつけられています。
元肥(もとごえ、もとひ)


 植物を植えたり移植するとき、植える土に混ぜ込んだり、植え穴の下部にあらかじめ与える肥料です。有機質肥料や緩効性化成肥料を使います。
 
お礼肥(おれいごえ)


 花の終わった花木や球根、収穫後の果樹などの体力回復のために与える肥料です。主に速効性の肥料を使います。
追肥(おいごえ、ついひ)


 元肥だけではやがて肥料不足になるため、生長にあわせて与える肥料です。液体・固形・粒状・スティック状のものなどがあり、目的によって速効性や緩効性の肥料を使います。一度に多く与えず、少しずつ何回かに分けて与えるのがコツです。
 
寒肥(かんごえ、かんぴ)


 庭木や果樹の春先の樹勢をよくするために、冬の休眠期間中に与える肥料です。主に腐葉土や堆肥などの有機物と、ケイフン等緩効性の有機質肥料を使います。
与え方のポイント
 
■鉢植え・プランターの場合
 <元肥>主に土に混ぜて使用します。
 <追肥>少しずつ何回かに分けて与えます。固形のものは株に直接触れないよう、鉢の周囲に置肥します。
 
■花壇・菜園の場合
 <元肥>植える土にすき込んだり、植え穴の下部に根からはなして与えます。
 <追肥>生長にあわせて与え、宿根草や球根は花が終わった後にお礼肥を与えましょう。
 
■庭木・果樹の場合
 <元肥>苗木を植える場合には、植え穴の下部に根からはなして与えます。
 <追肥>追肥・お礼肥・寒肥は、枝先の下部に穴を掘って与えます。

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